2025年5月に読んだ本まとめ

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書評

 3月と4月は1冊も本を読めなかった。ここ最近ゲームにハマり、読書にあてる時間を捻出することが難しかったからだ。『転ばぬ先の本』なんて名前のブログを運営している身としては、あるまじき行為だろう。反省しろ!

 反省した、もとい、ようやく遊んでいたゲームがひと段落ついたので、5月は5冊の本を読破。別に5月だから5冊読んだというわけではない。たまたまである。そんなこと言ったら12月には12冊読まなければいけなくなってしまう。それは、ちょっと……できなくはないだろうけど……。

 ということで、今回は5月に読み終えた5冊の本を紹介。久しぶりに読書ブログらしい記事が書ける!

水鏡推理VII ソヴリン・メディスン

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 水鏡推理シリーズの最新刊。前作から実に8年ぶりである。もう続きは出ないのかな、とあきらめかけていたので、7巻の発売は青天の霹靂だった。ネットで見つけた瞬間、すぐさま購入ボタンを押した。

 今作では新型コロナウイルスの特効薬をめぐり事件が起こる。コロナ感染者を次々と回復へ導いた奇跡の特効薬。その薬が、突如として病院から盗まれてしまう。犯人はいかにして犯行に及んだのか。そしてその動機とは。

 相変わらず時事ネタが豊富。霞が関勤務の国家公務員が主人公ということで、判断推理パズルが随所に登場してくる点も健在だ。頭の体操をしているみたいでおもしろい。もちろん、ひとつも解けなかったけどな!

 先が気になりすぎて、読み進めるうちに夜更かししてしまった。真相についてはネタバレになるのであまり書けないけれど、そうきたか、って感じ。病院に勤務したことがない門外漢が自力でたどり着くのは難しいかも。

 それにしても、6巻までは講談社から出版されていたのに、なぜ7巻は角川から発売されたのだろうか。たしか、同作者の別シリーズ『万能鑑定士Q』でも似たようなことが起こっていた。あちらは角川からはじまって講談社に移り、また角川に戻っていたけれど。シリーズの途中で出版社が変わるなんて、そっちの理由も気になってしまう。

知的複眼思考法

 頭がよくなりたい! という短絡的な動機から手に取った本。最近、思考法や物事の見方を教えてくれる本ばかり買っている気がする。2月に読んだ『観察力の鍛え方』とか。

 本書の発売日は2002年、大元の単行本の発売日は1996年。かなり古い。購入ボタンを押すときも、「こんな昔の本が、本当にいまでも役に立つのかな」とちょっぴり不安を感じた。

 心配は無用だった。いや、まだ複眼思考をものに出来たわけじゃないから「役立った!」と言うのは早計かもしれないけれど、読んだ限りではかなりタメになる内容だった。

 本の読み方や問いの立て方が具体的な方法とともに紹介されていて、どんな点に気をつければいいのか、どうやって実践していけばいいのかがよくわかる。

 SNSの発達やAIの台頭で情報が氾濫するようになった現代だからこそ、流れてきた情報を鵜吞みにせず、物事を多面的に見る力が必要だろう。

 自分の頭で考えなさい、とはよく聞くフレーズだが、肝心の考え方については、誰も詳しく教えてくれない。そんな、「自分の頭で考えたいけれど、どうしたらいいのかわからない」と悩む人にぴったりの本である。

時をかけるゆとり

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 朝井リョウ氏の初エッセイ。10年前に買ってからずっと温めてきた本を、ようやく開くときが来た。帯の「圧倒的に無意味な読書体験」のあおり文句もいい。これは期待できそうだ。

 しょっぱなから便意で他人の家族だんらんをぶち壊したエピソードが出てきて、不覚にも笑ってしまった。なにしろエッセイの一行目が「私はお腹が弱い。」である。これだけでエッセイの方向性が見えたと言ってもいい。案の定、その後も読者の想像をはるかに超える失敗談が目白押しだった。

 エピソードの強さにも驚きだが、なにより文章のテンポがいい。インパクトのあるエピソードと巧みな文章とが組み合わさっていて、まさに鬼に金棒だ。

 自転車の旅ということで、荷物の軽量化は必須だ。ということで私はまずウエストポーチの中にトイレットペーパーを詰め込んだ。

文庫『時をかけるゆとり』175ページ

 なにも考えずに、ただひたすらおもしろいエッセンスを摂取したいときにおすすめの本。読んでいる間は日々の疲れや不安を忘れられる。

 朝井リョウ氏のエッセイは、『時をかけるゆとり』のほかにあと2冊あるらしい。ほしい本がまた増えてしまった。

正欲

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 重い。とにかく重い。便意で家族だんらんをぶち壊した作者が書いたとは思えない作品だ。『時をかけるゆとり』のあとに続けて読んだから、その落差に最初はついていくのがやっとだった。ふり幅が大きすぎる。

 一言で言ってしまえば、本作は多様性をめぐる物語である。「みんな違ってみんないい。だから多様性を認め合おう!」なんて安直なお話ではなく、「いまみんなが大合唱している多様性って、しょせんは多数派が想定できるものしか含んでいないよね。そこに当てはまらない人間がいるってこともわかってる?」とぼくらの想像力の限界を突きつけてくる作品。

 性格や価値観が人によって違うように、性欲を感じる対象も人によってばらばらだ。多くの人は異性愛を前提として社会生活を営んでいるけれど、そうでない人だって存在する。しかし、その事実を、ぼくらはついつい忘れてしまいがちだ。

 ぼくはあなたのことを理解できる、なんて口が裂けても言えない。でも、それならせめて、「自分の想像すら及ばない世界があるんだ」ということだけは、いついかなるときも忘れないようにしておきたい。

スマホ時代の哲学

 たまたま書店で見かけた本。スマホ依存を自覚している者として、このタイトルは見過ごせなかった。

 なにもしていない時間があると損した気分になり、思わずスマホに手を伸ばしてしまう。SNSで多くの人と繋がっているのに、なぜかいつもさみしさを感じる。そんな誰しもが抱いているであろう悩みに、この本は答えてくれるのではないか。

 試しにページをぱらぱらめくったら、目を引く小見出しがあった。

自力思考が生み出すのは、平凡なアウトプット

『増補改訂版 スマホ時代の哲学 「常時接続の世界」で失われた孤独をめぐる冒険』72ページ

 こ、これは……! 自分の頭で考える習慣を身につけようとしているぼくへのあてつけか!? 「おまえの矮小な頭でいくら考えたって、出てくるのは凡庸なアイデアだけだZE☆」って、もしやケンカを売られているのか!?

 こんな文章を見せられたら、読まない選択肢なんて考えられない。一気に購入を決意した。

 哲学なだけあって、わかるようでわからない、そんな読後感だ。読みやすい文章だけれど、1回読んだだけでは筆者の言いたいことを充分に理解することができなかった。即効性のある答えが書いてあるハウツー本とはわけが違う。それでも、この本が先の見えない人生における道しるべになることは間違いない

 筆者の主張のひとつに「“趣味”を持て」というものがあったけれど、このブログみたいな承認欲求のために続けているものは、筆者の想定する“趣味”とは違うんだろうな。

 野菜を育てるにしろ、文章を書くにしろ、なにか作っていると、ついそれをSNSで世界中に発信したくなるのが人間だ。誰の影響も受けずに、ひとりで黙々と作業する。そんな“趣味”を作るのは、なかなか難しそうだ。

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