劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』感想【ネタバレ有】

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映画

こんにちは、コナンの映画予告でラムの正体のネタバレを踏んだライムです。

一昨日の9月6日(くろの日)、『名探偵コナン 黒鉄くろがね魚影サブマリン』を観賞してきた。

2023年4月14日に公開され、早5か月。9月になってようやく映画館に足を運ぶとか、世間からだいぶ遅れているような気がする……まあいろいろと事情があったから仕方がない。無事に観賞できたからよしとしよう。

これまでX(旧Twitter)やYouTubeでネタバレを踏まないように気をつけながら過ごしてきたが、そんな情報遮断生活ともおさらばだ。

もうネタバレも怖くないぞ!

ということで、劇場版名探偵コナン第26弾の感想を綴っていく。ネタバレ全開なので、まだ観ていない方は注意。

前作の感想▶『劇場版 名探偵コナン ハロウィンの花嫁』感想(ネタバレ有)

ストーリー

東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設『パシフィック・ブイ』。本格稼働に向けて、ヨーロッパの警察組織・ユーロポールが管轄するネットワークと接続するため、世界各国のエンジニアが集結。そこでは顔認証システムを応用した、とある『新技術』のテストも進められていた――。
一方、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナン達少年探偵団。するとコナンのもとへ沖矢昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員がドイツでジンに殺害された、という一本の電話が。不穏に思ったコナンは、『パシフィック・ブイ』の警備に向かっていた黒田兵衛ら警視庁関係者が乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入。すると、システム稼働に向け着々と準備が進められている施設内で、ひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生…!さらに彼女が持っていた、ある情報を記すUSBが組織の手に渡ってしまう…。
海中で不気味に唸るスクリュー音。そして八丈島に宿泊していた灰原のもとにも、黒い影が忍び寄り…

けっしてれてはいけない〈玉手箱ブラックボックス〉がひらかれたとき
ふうめた過去かこがいま、洋上ようじょうかびがる――

https://www.conan-movie.jp/about/ (2023/09/08)

感想編

笑いあり、涙あり、爆破あり。最初から最後まで目が離せない、スリル満点の映画だった。

興行収入が130億を超えたそうだが、さもありなん。それぞれのキャラクターに見せ場が用意されているうえ、怒涛のスピードで進む物語は圧巻の一言。

観に行ってよかった~!

メインヒロイン

哀ちゃん! かわいい!!

灰原哀と言えば、コナン(新一)の立場を理解している良き相棒という側面がこれまでは強かったが、今作では、思った以上にがっつりヒロインしていた。

コナンを助けに迷いなく海へ飛び込むシーンは鳥肌モノだったし、声の届かない海中での2人のやり取りにはうるっときてしまった。

一番びっくりしたのは、やっぱり人工呼吸のシーンだ。

「キスしちゃったんだよ」って、ここまでコナンのことを異性として意識している描写がいままでにあっただろうか?

哀ちゃんにとって、コナンはこれまで幾度となく組織の魔の手から自分を救ってくれた恩人だ。特別な感情を抱くなと言うほうが無理だろう。むしろ、惚れて当然の流れだ。

しかし、残念ながらコナン(新一)には意中の人がいる。そのことを知っているからこそ、哀ちゃんは自分の気持ちを悟られまいとするのだが、その姿がまた健気だ。ああ、切ない……。

新一は蘭とゴールインしていいから、コナンは哀ちゃんとくっついてほしい。

若返りの薬も作れたんだから、人が分裂する薬も作れたりしないだろうか? さすがに無理か。

物語後半、哀ちゃんが直美に投げかけた「子どもの言葉や行動で、人生が変わることもある」のセリフがすごく印象的。大人が子どもと一緒に見るであろう映画でこのセリフを言わせるとは、なかなか感慨深い。子どもの意見を軽視しがちな大人には、よく刺さる。

陰の功労者

今回のMVPは、間違いなく水無怜奈ことキールだろう。

来葉峠以降あんまり見ないなあ、同じ潜入組なのにバーボンとの扱いの差が大きすぎて可哀想、などと思っていたら、ここにきてまさかの八面六臂の大活躍ぶり。

キールがいなかったら普通にコナン詰んでた。それぐらい重要なポジションを担っていた。ベルモットの暗躍ぶりもなかなかだったが、物理的に命を助けたという点は、やはり大きい。

影薄いとか思っていてごめんよ。

ウォッカ相手に芝居を打つ機転のよさや、直美たちの境遇に苦悩する優しさなどが丁寧に描かれており、改めて彼女の優秀さを実感できた。

ジン相手に一歩も引かない姿勢もカッコいい!

哀ちゃんの次にキャラが掘り下げられていたような気がする。

クソシステム

とんだクソシステムじゃねえか!

今作の名言。笑った。好き。

オリジナルキャラの結末

映画オリジナルキャラクターとして、新たな黒ずくめの組織のメンバー、ピンガが登場。コーンロウが特徴の青年だ。

容姿も声優も一切知らないまま映画に臨んだが、ひとつだけわかっていたことがある。彼は最後、お亡くなりになるに違いない。

結果は案の定だった。

映画オリジナルの黒の組織のメンバーは、アイリッシュ然りキュラソー然り、すべからく死に至るのがお決まりだ。

彼らの共通点は、コナンや安室といった主要キャラの秘密を知ってしまったこと。

映画は基本、原則に影響を及ぼさない作りとなっている。

しかし、観客には、コナンの正体がばれるのではないかというハラハラドキドキ感を味わってほしい。

そんな矛盾を解決する方法として編み出されたのが、正体を知った直後に退場させるという荒業だ。要するに、死人に口なしである。

……こわ。コナン、こわ。

正体に気づいた者はことごとく消されるとか、あの方もびっくりのラスボスムーブだよ! 死神と呼ばれるのも納得だよ!

生き残るためには、怪盗キッドのようにコナンの味方サイドにいるしかない。

ピンガ、最期まで悪役らしくいて、いいキャラだったのにな……。コナンの正体に気づかなければ生き残れたかもしれないのに。

お気に入りのシーン

蘭vsピンガ

哀ちゃんとウォッカの直接対面という、まさかの展開にビビっていたら、蘭が参戦してさらにビビった。ここで活躍するのか!

なかなか目にする機会のない組み合わせだ。興奮しすぎて、観賞中ついつい前のめりになってしまった。

安室と赤井のやり取り

熱心なファンというわけではないけれど、安室と赤井の会話シーンは見ていてテンションが上がる。

お互いわだかまりを抱えつつも、相手の能力は評価しているっていうね。この2人が揃ったときの心強さは半端ない。

連係プレーによる潜水艦撃退

超人コナンと超人赤井による連係プレー。これはもうコナン映画の様式美といって差し支えないだろう。この調子で組織も壊滅してほしい。

それにしても、今作ではロケットランチャーみたいなものをぶっぱなすとか、赤井さんは回を重ねるごとにパワーアップしているような気がする。

ツッコミ編

アニメ映画にツッコミを入れるのは野暮というものだ。

わかっている。わかってはいるんだけど、やっぱりツッコまずにはいられない。

ということで、今作を観て気になった点をいくつか紹介。

ガバガバ警備

世界中の防犯カメラを繋ぐパシフィック・ブイ。

インターポール管轄の重要拠点であるはずが、その警備体制はなんともお粗末だ。

なにしろ一般人のコナンが普通に中へ入れてしまっている。いくら刑事と顔なじみだからって、ちょっとVIP待遇すぎない?

しかも、気づけば蘭や小五郎、阿笠博士まで出入りしている!

怪盗キッドやベルモットみたいな変装の達人がそこらじゅうにいる世界だよ?

もうちょっと人の出入りに慎重になったほうがいいのでは?

だから黒ずくめの組織に侵入されるんだよ。

ガバガバ警備その2

パシフィック・ブイの警備もザルだが、敵サイドの潜水艦も負けていない。

あろうことか、縄をほどいた哀ちゃんと直美の脱出を許してしまっている。

見張りを立たせていないとかアホなの?

誰かが中に入って操作しているようです! じゃないよ。もっとはやく気づこうよ。

各国からスパイに入り込まれているし、ジンはことごとくシェリーを仕留め損なっているし、やっぱり黒ずくめの組織はポンコツなのかもしれない。

ミステリ<アクション

原作のジャンルはミステリだが、映画に関してはド派手なアクションやキャラの活躍を楽しむものだと思っている。

毎回、申し訳程度に犯人捜しはあるけれど、推理要素は薄い。

今作の指で数えるシーンについては、もう隠す気がないだろ! ってぐらいヒントがあからさますぎて、事件が起きていないのに事件の犯人がわかるという、意味不明の事態だった。

ピンガ、5年もフランス人に化けてるなら、もっとフランスのこと勉強しようよ……。

カーチェイスとか爆破シーンとか好きだから、これはこれで楽しいんだけど。

もしかして、謎解きの難易度が下がっているんじゃなくて、僕の観察力が上がっているのか……?

おばあさんのネイルにもすぐピンときたし、あながちこの線が濃厚……?

目撃者の生存

ラスト、直美が旅立つシーン。

映画を観ているときは胸が熱くなるだけだったが、落ちついて考えてみれば、なんかおかしい。

……めちゃくちゃ黒ずくめの組織のメンバーの顔を見てるのに、なんで生きてるの?

彼女が生きてるってことは、ウォッカたちの面が割れたってことだよね? 普通に考えて指名手配されてるよね? だってインターポールの施設に魚雷を打ち込むようなやべー奴らだよ? 警察の威信にかけて捕まえようとするでしょ?

目撃者を消しそびれるとか、やっぱり黒ずくめの組織はポンコツなのかもしれない。

最後に

少しツッコミが多くなったが、それはそれ、これはこれ。個人的にすごく楽しめた作品だった。

それぞれのキャラに見どころが用意されており、ファンサービスも高水準。最初から最後まで見どころたっぷりで、一秒たりともダレる瞬間がなかった。109分があっという間。

ここ数年のコナン映画の中では、たぶん一番好き。

余裕があれば、閉幕までにあと1、2回は観たい。あと八丈島も行きたい。

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