ぼくは花の名前をよく知らない。
チューリップやパンジーといった園芸植物はまだしも、野生の草花となるとちんぷんかんぷんである。タンポポぐらいしか自信を持って判別できない。小学生のころはそのへんに生えている花をむしり取って蜜のようなものをチューチュー吸って遊んでいた気もするが、いまでは触れるどころか見向きすらしない。
別に草花の名前なんて知らなくても現代日本で死ぬことはないだろうが、知らないままでいるというのもなんだかなあという感じである。
……どうせ家にいてもやることないし、散歩がてら野生の草花を観察してみるか!
そうと決まれば善は急げだ。出不精のぼくがなにかを思い立つのは珍しい。この機を逃したら次に野生植物に興味を持つのは数年後になってしまう。
とはいえ、いちいち植物図鑑を片手に散歩するのも面倒だ。というか、そもそも気軽に持ち歩けるコンパクトな図鑑なんて持っていない。
近所の書店は閉店してしまったし、通販で買っていたら商品が届くまでの間にやる気が消えてしまう可能性が高い。もっと気軽に花の名前を知る方法はないものか。と思っていたら、便利なツールを発見した。
『GreenSnap』というアプリである。ストアにはほかにも植物名を判断できるアプリがあったが、課金の有無など使い勝手を考慮した結果、このアプリに落ち着いた。無課金で使用できるのはありがたい。
ダウンロードしてニックネームを入力すれば、すぐに使い始めることができる。メールアドレスやパスワードの登録は不要。花の名前を検索するだけであれば、仮登録でも充分だ。
アプリにはさまざまな機能が用意されているが、今回利用するのは「名前を教えて!」という機能。
使い方は簡単。
アプリ内の「名前を教えて!」機能を選択し、スマホのカメラで花の写真を撮影するだけだ。あとはAIが植物の候補をいくつか紹介してくれる。
近所を散歩していると、さっそく道端に小さな黄色い花が咲いているのを見つけた。
5枚の黄色い花びらをつけた植物は、どうやらカタバミというらしい。ハート形の葉っぱがキュートだ。
こちらはムラサキカタバミ。カタバミと形が似ているが、花びらの色が違うし葉も大きい。
空き地にたくさん咲いていたオレンジ色の花は、ナガミヒナゲシというそうだ。
Googleで検索すると「ナガミヒナゲシにご注意ください」みたいなページばかりがヒットする。アルカロイド性の有毒物質を含んでおり、素手で触れるとかぶれるらしい。
こわっ! 知らない植物に出くわしても、迂闊に触れないように気をつけよう。
四つ葉のクローバーでおなじみのシロツメクサ。
シロツメクサの赤バージョン、その名もアカツメクサ。そのまんまだ。ムラサキツメクサともいうらしい。葉は楕円型をしている。
たぶんクスダマツメクサ。かなり小ぶり。
こちらはたぶんコメツブツメクサ。クスダマツメクサよりもさらに小さい。小さすぎてスマホカメラのピントがぜんぜんあわない。
ハタケニラ。畑の韮? 普通にコンクリートの割れ目から生えていたけど。
ニワゼキショウ。白と紫、2種類の色があるが、どちらも100%ニワゼキショウであるとAIがいっているからそうなのだろう。
ムシトリナデシコ。ピンクの花が印象的。名前から推察するに、たぶん虫を捕獲している。
マツバウンラン。淡い青紫色がきれいである。
カラスノエンドウ。ちゃんと見なかったけど、エンドウというぐらいだから、エンドウマメみたいなさやがついていたのかもしれない。
コバンソウ。垂れた先が小判みたいだからこの名前がつけられたのだろう。小判というよりむっちりした虫に見えてしまって、ぼくはちょっと苦手。
ホトケノザ。漢字で書くと「仏の座」。なんか御利益がありそうな気がする。
タツナミソウ。筒状の白い花がたくさんついている。
最後はコマツヨイグサ。昼間はしぼんでいたが、夕方以降に見たら花開いていた。宵を待つ草、という意味だろうか。洒落た名前である。
今回、はじめて植物に注目しながら近所を散歩してみたが、思いのほかさまざまな草花が生えていて驚いた。どんなに見慣れた景色でも、視点を変えれば新しい発見がある。そのことを実感する。
少しずつ名前がわかってくると、ほかの草花の名前も調べてみたくなるものだ。知識欲が満たされるし、なによりRPGの素材アイテムを探しているような楽しさがある。季節が変われば植物の顔ぶれも変わるだろうから、また時間をおいて探索してみたい。
ちなみに、野草の中には食べられるものもあるそうだ。……食料を買うお金が尽きたときは、野草のお世話にでもなるか。
コメント
植物といえば有川浩さんの植物図鑑を思い出すな…
自分の周りにはシロツメクサしか生えてねぇ…
植物か・・・気にしてみよ!