ドラゴンクエストやファイナルファンタジーといったRPGをプレイしたことのある人なら、誰しも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
自分の好きなようにゲームを作ってみたいなあ、と。
私も子どもの頃にポケモンをプレイし、そこからRPGにはまりました。
しかし、実際に一からゲームを作ろうと思っても、そう簡単にできるものではありません。
スマホのアプリを作るにもプログラミング言語が必要です。
ゲームには当然、グラフィックも音楽も必要になってきます。
プログラミング技術はない、絵は描けない、音楽は作れない、ないないづくしで匙を投げる方も多いでしょう。
かくいう私も、そういった専門的なスキルは持っていません。
しかし、専門知識がなくてもゲームは作れるんです!
プログラムの知識がなくても、手軽にゲーム制作を楽しめるゲーム制作用ソフト、それが、RPGツクールです。
今回は、このソフトについて簡単にご紹介したいと思います。
RPGツクールとは?
株式会社KADOKAWAから発売されている、誰でもゲームが作れるようにすることをコンセプトに作成されたソフトです。
パソコン用と、家庭用ゲーム機用(ニンテンドースイッチ、プレイステーション4)、それから携帯ゲーム機用(ニンテンドー3DS)が販売されています(それ以外のゲーム機用ソフトも、過去には販売されています)。
ゲーム作りに必要なグラフィックや音楽は、すべてサンプルとして豊富に取り揃えられていますので、このソフトが一本あればユーザーはすぐにゲーム作りに取り掛かれます。
ソフトの名前にRPGと入っていますが、作成できるのはRPGだけではありません。アクションゲームだったりノベルゲームだったり、まったく別系統のゲームも作成することができます。
シリーズがいっぱいあるけど、どれから始めたらいいの?
RPGツクールと一口に言っても、ソフトはいろいろとあります。
結論から言うと、おすすめはRPGツクールMZです。
お使いのパソコンのスペックによっては動作が重いなどの欠点も生じる可能性はありますが、豊富な素材や便利な機能が搭載されており、簡単なゲームから何十時間にも及ぶプレイ時間の大作ゲームを作り上げることもできます。スマートフォン対応のゲームを作成できる点も見逃せません。
現時点で最新作というだけあって、バージョンアップも頻繁に実施。機能が日々強化されています。
RPGツクールVXAceもおすすめですが、発売から年数が経っているということもあり、公式のサポートも終了しています。動作の安定性や手軽さには秀でていますが、やはり全盛期と比べると勢いは衰えているのが現状です。
とはいえ、ソフトごとに特徴が違ってきますので、それぞれ簡単に紹介していきたいと思います。
RPGツクール比較表
RPGツクール | MZ | MV | VXAce | VX | XP | 2000 |
手軽さ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | ◎ |
収録素材 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ |
グラフィック | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | △ |
マップ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | △ |
システム | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ |
価格 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
手軽に始めたいならRPGツクール2000
発売から数年が経ちますが、根強いファンがいるソフトです。
RPGツクールに必要最低限な機能がそろっていますので、ゲーム作りを始めてされる方でも気軽に始められます。
動作も後継ソフトに比べて圧倒的に軽いですので、パソコンのスペックを気にする必要はありません。
ただし、解像度が低かったり、システム面の改造等が難しかったりするため、後継ソフトよりも自由度が低いのが難点です。
工夫すれば、オリジナルのシステムを構築することや擬似3Dダンジョンを作ることもできますが、そのレベルに到達するまでにはかなりの時間がかかるでしょう。
そこまで凝ったゲームにしないよ、レトロ風のゲーム作りをしたいよ、という方は、このRPGツクール2000がおすすめです。
マップに凝りたいならRPGツクールXP
上級者向けとなるソフトです。
本作から初めて「スクリプト」と呼ばれる機能が実装されました。
プログラミング言語(RPGツクールXPではRuby)によるスクリプト機能によって、基本性能に縛られないゲーム制作が可能となりました。
もちろん、スクリプト機能を用いなくてもゲーム作りは十分に可能なので、プログラミング言語がなくても心配はいりません。
本ソフトの最大の特徴は、マップ作りでしょう。
美麗で複雑なマップを作製できるので、マップ作りに凝りたい方は、RPGツクールXPがおすすめです。
ただし、きれいな分、作るには少しコツがいります。
そこまでマップにこだわらないよ、という方には、正直あまりおすすめできません。
発売から年数が経っているため、素材を公開しているサイトも少なくなってきています。
使いやすさ重視ならRPGツクールVXAce
ゲーム制作初心者の方におすすめできるのが、RPGツクールVXAceです。
とにかく基本性能が使いやすく、これまでスクリプトでしか再現できなかった機能も、最初から実現可能となっています。
グラフィックも最新作には劣りますが、かなりきれいなものとなっています。
RPGツクールシリーズの中で最も使いやすいツールとの評判があり、後述するRPGツクールMZが発売されたいまも、本ソフトを使い続けている製作者の方は多くいます。
グラフィックやスクリプトなどの素材を提供してくれる素材屋さんも充実しており、自分では絵が描けないけどオリジナル性を出したい! という人にもおすすめです。
ちなみに、RPGツクールVXAceの前には、RPGツクールVXが存在します。
RPGツクールVXはRPGツクールVXAceの下位互換に近いので、どちらか選ぶとしたらVXAce一択でしょう。
もともと収録されているグラフィック等も、RPGツクールVXよりもRPGツクールVXAceのほうが豊富です(ただし、有志の素材はRPGツクールVXをもとに作成されたものが多いので、その点は注意が必要です)。
ただ、最近は素材サイト様が閉鎖するところも多く、公式のサポートも終了してしまいました。そのため、あまり強くはおすすめできなくなったというのが正直なところです。
スマホ向けゲームも作りたいならRPGツクールMV
本作の最大の特徴は、なんといっても作成したゲームをスマートフォンでもプレイできることになった点です。
スマートフォンを誰もが持ち歩く世の中になったいま、この機能は外せないでしょう。
これまでのパソコン用ソフトで作成されたゲームは、パソコン上でしか遊べませんでした。
本作では、いくつかの設定さえ行えば、パソコンからでもスマートフォンからでもゲームをプレイすることができます。
とはいえ、パソコンとスマートフォンでは画面の大きさも操作方法も違いますので、スマートフォン向けのレイアウトにするにはそれなりのコツが必要になってきます。
ほかにも、VXAceまではスクリプトを使用しなければ表現できなかったサイドビュー戦闘が、MVでは初めから機能として備わっています。
また、今作から、SF世界を表現できるマップ素材が収録されるようになったため、剣と魔法のファンタジーだけではなく、現代風RPGやSFチックなゲームも製作可能になりました。表現の幅がぐっと広がりますね。
VXAceよりも豊富なプラグイン(スクリプトの後継システム。こちらのプログラミング言語はJavaScript)がそろっていますので、システム面でもこだわりが発揮できます。
プロジェクト内には、魔物図鑑やアイテム図鑑を実装するといったプラグインが最初から入っているので、導入するだけで簡単にシステムを拡張できます。
プラグインを使えば、3Dゲームも製作可能です。
ただし、多くの機能が含まれている分、使用するパソコンの機種が古かったり容量が少なかったりすると、動作がもたつきますので、その点はご注意ください。
家庭用ゲーム機で作りたいならRPGツクールMVTrinity
MVTrinityの後継ソフトとして、2024年4月11日(木)に家庭用向け最新作RPG MAKER WITHが発売。いまのところSwitch版だけですが、いずれPS4、PS5版も発売される見込みです。
ニンテンドースイッチおよびプレイステーション4専用ソフトです。
パソコン用ツクールソフトでは、インターネットでほかの製作者が作成した素材を取り込むことができるため、素材探しに時間がかかることがままあります。
凝ったゲームを作りたいと思えば思うほど、素材探しという泥沼にはまってしまうことが多いでしょう。
こちらのRPGツクールMVTriniyでは使える素材がある程度限られますので、素材選びに悩むことなく、純粋にゲーム作りに集中できます。
サンプルも豊富に取りそろえられており、収録素材数は、ほかのパソコン用ツクールの追随を許しません。
ただし、バグが多いのでその点はご注意を。アップデートにより改善はされていますが。
高機能なゲームを作りたいならRPGツクールMZ
本作はRPGツクールMVの正統な後継機種となります。
MVの機能に加え、ゲーム作りに便利な機能がいくつも追加されています。
以下は一例です。
- マップエディターが強化。RPGツクールXP以来の、レイヤー機能が復活
- 従来のターン制バトルに加え、タイムプログレスバトルを、外部のプラグインなしで選択可能
- 解像度(画面の大きさ)を外部のプラグインなしで変更可能
- スマホプレイ時に使用するタッチ用ボタンが、画面上に標準装備。スマホプレイが楽に
ほかにも、セリフにネームウインドを表示させることができるようになったり、イベント設定時に移動ルートを視覚的に確認できるようになったり、壁タイルの後ろを歩けるようになったりと、痒いところに手が届く仕様になっています。
もちろん、MVに引き続き、本作で作ったゲームも、スマートフォンでプレイ可能です。
SF素材も収録されています。
ただし、グラフィックがきれいになった分、素材の改変の敷居が高くなっている感は否めません。
また、マップエディターにレイヤー機能が加わりましたが、それも一長一短です。幅広い表現が可能になった反面、レイヤーを適宜切り替えないと不自然な表現になってしまうところがでてきてしまいます(収録されている段差(草)のグラフィックは、レイヤーを適宜切り替えて配置しないと隅が透明になってしまうなど)。慣れるまで、多少の時間を要するかもしれません。
とはいえ、やはり最新ソフトというだけあり、できることはツクール随一です。
また、公式のサポートも手厚く、常にバージョンアップがなされています。
タイルセットのサイズの変更が可能となり、MZ標準の48×48だけでなく、32×32サイズも選べるようになってVXAce以前のマップ素材を流用しやすくなりました。
本格的にゲームを作りたいと思っている方におすすめです。
ちなみに、MVまではモンスターの代名詞でもあったスライムの戦闘グラフィックが、今作では収録されていません。なぜリストラされた……。
作ったゲームは公開しよう
ゲームの公開方法は様々です。
自分のホームページで公開するもよし、フリーゲーム(無料でプレイ可能)サイトで公開するもよし、DLsiteなどで有料販売するもよし、ネットで公開せずに身内だけでプレイするもよし。
方法は自由です。
フリーゲームサイト
同人ゲーム販売サイト
ゲーム投稿サイト
ゲームアツマールは2023年6月28日をもってサービス終了となりました。
GAMEアツマール(変更前はRPGアツマール)では、ゲームフォルダをダウンロードすることなく、ブラウザ上でゲームをプレイすることができます。スマートフォンでも操作できるので、外出先でも気軽に始められます。
ニコニコ動画のようにコメントを残すこともできるので、みんなとわいわいプレイできるような擬似的な感覚を味わうこともできておすすめです。
ゲームがノベライズ化?
人気を博したゲームは、ノベライズ化されているものもあります。
「魔女の家」「霧雨が降る森」「Margikarman ItoA」などですね。
もしあなたの作成したゲームが一躍有名になれば、ノベライズ化も夢ではないかも……?
ゲーム実況も熱い!
RPGツクールで制作されたゲームを実況プレイされている実況者も数多くいます。
ニコニコ動画などで検索していただければ、かなりの数がヒットするでしょう。
あの映画化もされたホラーゲーム『青鬼』も、実はRPGツクール製なんですよ。
ゲーム実況者、レトルト氏もRPGツクール製のゲームをプレイしており、その実況動画がインターネットにアップされています。
自分の作ったゲームが実況されるなんて、テンションが上がりますね。
おわりに
どのツクールを選ぶか聞かれたら、RPGツクールMZをおすすめします。
いろいろと紹介してきましたが、どのソフトが使いやすいかを知るには、実際に使ってみるのが一番です。
ツクール公式ストアにおいて、体験版をダウンロードして遊ぶことができますので、一度そちらを利用してみてください。
上でも述べたように、お使いのパソコンによっては、最新ソフトだと動作が重い可能性もあるので、体験版で性能をチェックしておくとあとで困らないでしょう。
以上、誰でもお手軽にRPGを作れるソフトRPGツクールのご紹介でした。
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