【ポケモンSV】レビュー。終わりなき宝探し

2022年11月に『ポケットモンスター バイオレット』を購入してから、はやくも1年と4か月が経過した。

ストーリーを進めずにどれだけ図鑑を埋められるかというゆるすぎる縛りプレイからはじまり、いまは色違い厳選に精を出している。

正直、購入した当時は、まさかここまでやり込むとは夢にも思っていなかった。このまえ久しぶりにプレイ記録を見たら、予想外の数字に腰を抜かしたものである。

……？

！？

なんと1050時間以上もプレイしていた。そのうちマルチプレイに興じたのは1時間ほどだから、1049時間は誰とも交流せず、ひとりで黙々とパルデア地方とイッシュ地方を駆け回っていた計算になる。大丈夫か？　第4世代以降、ポケモンと無縁の生活を送ってきた反動かもしれない。

なにがこんなにもぼくの心をつかんだのか。スカーレット・バイオレットのいいところはいくつかあるが、その中から3つ紹介する。

ひとつめの魅力は、野生ポケモンの生き生きとした姿を間近で見られることだ。

今作ではシンボルエンカウントが採用され、ポケモンたちがフィールドを自由に動きまわっている。草むら、洞窟、雪山、海、木の上。ありとあらゆる場所に、ポケモンたちの姿がある。しかも、ただいるだけではない。

あるポケモンは雨が降りはじめると慌てふためき、あるポケモンは強風が吹くとどこかへ飛ばされていく。

あるポケモンはプレイヤーに気づくと一目散に逃げだし、あるポケモンはプレイヤーに気づくと威嚇しながら襲いかかってくる。

時間帯、天候、プレイヤーの存在、さまざまな環境の変化に対して、野生ポケモンたちはそれぞれ違った反応を示す。それがとにかく新鮮だった。

「進化前と進化後だと動きに違いがあるのかな」「昔から犬猿の仲だったあの2匹が出くわしたらどうなるんだろう」冒険の途中、そんな好奇心が何度も芽生えた。新しいポケモンに出会うたび、ついつい足を止めてしまった。どんなポケモンがどんな姿を見せてくれるのか、楽しみでしかたがなかった。

草むらや水中から飛び出してくるだけだった過去作とは違う。今作では驚くほど多種多様な生態をぼくらに見せてくれる。町から町へ移動する間に、いくつもの発見がある。そのひとつひとつが、かけがえのない旅の思い出となってぼくたちの胸にしまわれていく。

赤・緑からはじまったポケモンたちとの旅は、20年以上の時を経て、ついにここまで進化したのだ。そして、きっとこれからも進化し続けてくれるだろう。

ふたつめは、やり込み要素が充実していることだ。

マルチプレイなら通信対戦、ソロプレイなら色違い厳選が熱い。方向性は違えど、どちらも終わりが見えないという点では共通している。

大金をつぎ込んで育てた自慢のポケモンたちで世界最強トレーナーの座を目指すもよし、摩訶不思議なサンドウィッチを腹いっぱい食べながら色違い図鑑完成を目指すもよし。ストーリーをクリアしても、やれることはまだたくさん残されている。むしろ、クリアしてからが本番とも言える。

ぼくがプレイした1050時間のうち、その大半は色違い厳選に費やされた時間だ。色違いを求めてパルデア全土でピクニックを開いてきたが、下手したらストーリー攻略よりピクニックを開いている時間のほうが長いかもしれない。重症である。

さすがに1000時間以上遊んでいる人は小数だろうけど、それだけ奥深いコンテンツということだ。

色違い図鑑の完成を目指すぼくの旅は、まだまだ終わりそうにない。

そして最後、みっつめ。ドット絵から大きく進化したグラフィックだ。平面でしか描かれなかった過去作と異なり、SVではあらゆる角度からポケモンの姿を堪能できる。

おまけに作り込みがすさまじい。毛並み、光沢、ウロコといった細かい部分まで丁寧にデザインされており、見ていて飽きない。神は細部に宿るとは、まさにこのことだろう。ポケモンのグラフィックに力を入れすぎたせいか、フィールドはちょっとポンコツだけど。見えてはいけない世界が見えてしまうけど。

ポケモンたちにはさまざまなモーションも用意され、かわいい寝顔も見放題だ。ポケモンたちの存在を、より身近に感じることができるようになった。

そしてなにより、進化したのはポケモンだけじゃない。

ナンジャモ！

カエデさん！

タロちゃん！

ポケモンに負けず劣らず、トレーナーのキャラデザインも進化している！　かわいい！　好き！

まとめ：かわいいが最強ってこと！