『十字屋敷のピエロ』東野圭吾(著)感想

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書評

はじめまして!

ライムと言います。

記念すべき最初の投稿では、自分がミステリの世界にはまるきっかけとなった一冊を紹介したいと思います。

それがこちら、東野圭吾氏の書かれた十字屋敷のピエロとなります!

ぼくはピエロの人形だ。人形だから動けない。しゃべることもできない。殺人者は安心してぼくの前で凶行を繰り返す。もし、そのぼくが読者のあなたにだけ、目撃したことを語れるならば……しかもドンデン返しがあって真犯人がいる。前代未聞の仕掛けで推理読者に挑戦する気鋭の乱歩賞作家の新感覚ミステリー。

「BOOK」データベースより

東野圭吾氏といえば、「ガリレオ」シリーズが有名ですし、最近だと、「マスカレード・ホテル」が映画化されて、2019年1月18日から上映されていますね。

ミステリとの邂逅

私は、小学生のときから本をよく読んでいまして、学校の図書館に入り浸っては、「かいけつゾロリ」シリーズや、「デルトラ・クエスト」シリーズなんかを借りていました。ファンタジーが大好きでしたね、あの頃は。

それまではいわゆる文庫本はまったく読んでいなかったんですが、あるとき父親から本を借りたんですね。それがこの、「十字屋敷のピエロ」だったわけです。

読んでびっくりしましたね。いままで読んでいた海外のファンタジー小説とはまったく違う世界が展開されていて、世の中にはまだこんなに面白い本があるんだ、と目から鱗が落ちました。

残念ながら犯人を当てることはぜんぜんできなかったんですけど、散りばめられた不可解な謎、誰が犯人かを探ろうとする手に汗握る展開にはまり、気がついたときにはミステリの世界にどっぷりと浸かっていました。

父親にせがみ、東野圭吾氏の作品を何冊も借りて読み耽ったのは、よい思い出です笑

洋館を舞台にした本格推理物

この作品は東野圭吾氏の初期の作品であるため、近年発売されている小説と比べて、内容も雰囲気もだいぶ異なります。動機や人間関係といった事件の背景よりも、トリックやロジックが重視されており、パズル的な要素が強いです。近年刊行されている東野圭吾氏の作品しか読んでいない方は、少し面食らうかもしれません。

本作は、とある洋館を舞台に巻き起こる連続殺人を解決していく、というものです。

主人公は、これまた怪しげな人形師、 悟浄真之介(彼の存在が最大の謎かも) 。

そして、これでもかと登場する関係者たちは、皆、腹に一物を抱えた、一癖も二癖もある者ばかり。正直、全員を把握するのには苦労しました。

この作品の一番の特徴は、やっぱりのっけから登場するピエロの人形ですね。この人形、なんと語り部になるんです笑

事件を語る=人形なのに意思がある、ということから、そこはかとなく不気味さを感じながら、読み進めました。さすが呪いの人形。下手したらホラーに様変わりです。

この呪われたピエロの人形は、事件解決のキーアイテムとなると同時に、作品の持つ雰囲気を根底から支える役割を担っていたのかな、と思いますね。

怪しげなピエロの人形のほかにも、複雑な人間関係を持つ一族など、こういったミステリにはお約束のガジェットが登場します。ミスリードを担う場合が多いこれらの装置ですが、もちろん事件解明の手掛かりも隠されており、いかに深読みしすぎないかが大事になってきます。

ちなみに私はすっかり騙されました笑

トリックの全貌と、真相解明に至る過程には目をみはるものがあり、読み応え充分な作品でした。

最後に

私にとってこの作品は、ミステリの面白さに気づかせてくれた、思い出深いものです。いまでも時折、読み返しています。

謎解きの楽しみを充分に味わうことのできる作品ですので、ミステリ好きなら、ぜひ一度目を通してもらいたいです。

いまとは違う東野圭吾氏の作風を楽しめるので、おすすめです。

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