「ホタル観に来ない?」
家でYouTubeを見ていたら、友人からそんなメッセージが送られてきた。
ホタルと言えば、夏の風物詩のひとつだ。
お尻を光らせながら夏の夜を舞う姿は、実に見事で幻想的な光景である。
20年以上生きてきたが、そういえばまだホタルの実物を見たことがなかった。
「ホタルを見たことがないだなんて人生の半分は損してる!」というマウントを取られないためにも、せっかくの機会だからということで、観賞することに。
というか、近所にホタルが生息していることを初めて知った。
ホタルってそんな身近にいるものなの?
なんか選ばれた土地にしか生息していないっていうイメージしかなかったから驚き。めちゃくちゃ綺麗な川辺があるところとか。まさか同じ市内で見られるなんてね。
いざホタル観賞
さて、観賞日当日の2022年5月22日、日曜日。天気は晴れ。
車を15分ほど走らせ、スマホの電波すら届かない山奥に着いた。大手キャリアの友人もスマホが使えなくなっていたから、本当に電波が届かないんだろう。デジタル機器から離れたいときは、ここへ来るといいかもしれない。同じ市内だとは思えない僻地である。
友人と合流し、近くの小屋の中で夕飯を食べながら日が沈むのを待つ。
側溝付近で待つこと十数分。
19時を少し過ぎた頃、最初のホタルが光を発し始めた。
人工の光が届かない夕闇の中で、側溝沿いの木の葉に止まっていた1頭のホタルが点滅を始める。
遠くからでも視認はできるけど、ほかに少しでも光があったら見えないぐらい小さい。
その後、2頭目、3頭目と増えていく。
最初は止まったままのホタルだったが、時間が経つにつれてだんだんと飛び始める。
気付けば、19時20分頃には10数頭程度のホタルが空を飛んでいた。
19時30分頃にはたぶん20頭を超えていたと思う。ちゃんと数えたわけじゃないけど。
自然に触れる
鬱蒼と生い茂る森の中で、ただただ空を飛び交うホタルの光を眺める。聞こえてくるのはカエルの合唱と木々のざわめきだけ。
多くのモノや音であふれ返った世界を離れ、自然に身をゆだねる。はるか昔の人々もこうして夜を過ごしていたんだろうか、と柄にもないことを考えてしまった。
たまには町中の喧騒を離れるのもいいものだ。余計なことに気を取られることなく、落ち着ける。蚊さえいなければ完璧だった。あの羽音は本当に勘弁してほしい。
ホタルの写真を撮ろうと挑戦したけど、ぜんぜんうまくいかないね。なんか鬼火みたいになった。
やっぱり素人が撮影するのは難しいなあ。
動画。画面を最大まで明るくすれば、ホタルが飛んでいるのが、ほんとーにうっすらとだけわかる。
ホタルに関する豆知識
ホタルを見ていると、皆ほぼ同時に点滅する。見事なシンクロっぷりだ。メスを取り合っているというのに、なぜこうも息ぴったりなのか。もっと自己主張してもいいだろうに。
友人曰く、雨が降って気温が低かった昨日はホタルの数が少なかったが、今日は比較的暖かいせいか、いつもより多いそうだ。
ちなみに種類はゲンジボタルらしい。
ヘイケボタルとの違いは頭部の線の形だとか。ゲンジボタルは赤い頭部に黒い十字、ヘイケボタルは赤い頭部に黒い縦線が入っているという。言われてみると確かに十字っぽいけど……正直よくわからん。
空を飛んでいるのはほとんどがオスのホタルであり、メスは下のほうで止まっているそうだ。
オスとメスの見分け方は、発光部分を見るといいらしい。オスは発光部分がひとつ、メスは発光部分が二つになっているという。
20時30分過ぎになったところで、一旦引き上げる。小屋の中で休憩。
21時頃、一度雨が降ってくる。少し経つと小降りに。
22時。帰り際にもう一度側溝付近を見ると、ホタル数は減っていたもののまだ十数匹近くが飛び交っていた。いつまで光り続けるのか夜通し観察をしてみたい気持ちもあったが、さすがに真っ暗闇の山奥で夜を明かすだけの度胸も準備もなかったので、今日はそのまま家に戻ることにする。
いやー、楽しかった。初の生ホタルは格別だね。
また時間を置いて観賞会をしてみたい。
おまけ
オタマジャクシの大群。
こいつらが全員カエルになると思うと、鳴き声がすごそう。
アメンボ。よくよく見るとちょっとキモいな。
夜のホタル観賞のあとには、近くの草むらでマドボタルの幼虫も発見。
遠くから見ると、めちゃくちゃ淡く光ってた(ゲンジボタルよりもかなり弱い光)。
おそろしく小さな光……オレじゃなきゃ見逃しちゃうね(嘘つきました。最初に見つけたのは友人です)。
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